「Javaの脆弱性にはどのようなものがある?」
「Javaの脆弱性対策を実施したいが、何から取り組むべき?」
2021年12月に発覚したLog4jの脆弱性など、Javaの脆弱性が度々話題になっています。
脆弱性対策をしていないと、不正アクセスや情報漏えいなどのリスクを引き起こすため非常に危険です。自社のWebシステムに脆弱性がないかチェックし、最適な対策を実施しましょう。
本記事では、Javaの脆弱性、実際に起こった問題、脆弱性のチェック・対策方法などについて解説します。プログラミング言語にJavaを採用している企業の方は、ぜひご一読ください。
プログラム言語にJavaを採用している企業の方、必見!
Javaの脆弱性対策を実施したいが、何から取り組むべき?
最新バージョンへ適宜アップデートする体制を整え、セキュアな状態を維持することが必要不可欠です。また、実装したコードに潜む脆弱性を見落とさないためにも、Webシステム全体の脆弱性をチェックし、最適な対策を実施する工程を加えましょう。方法はこちらの資料をご覧ください。
Javaの脆弱性とは
Javaの脆弱性とは、開発環境・フレームワーク・ライブラリなどの不具合や設計ミスによって発生するセキュリティ欠陥のことです。Javaは多くのWebシステム・アプリの開発言語となっているため標的となりやすく、脆弱性を狙ったサイバー攻撃が後を絶ちません。
脆弱性が見つかる度に開発元が修正対応していますが、新たな脆弱性が発見されるため、すべての脅威から完璧に守ることは難しい状況です。サイバー攻撃から自社のWebシステム・アプリを守るには、脆弱性対策を行う必要があります。
Javaに脆弱性があると引き起こされるリスク
Javaの脆弱性によって引き起こされるリスクは、内部ネットワークへの侵入・データ改ざん・Webアプリの強制終了などです。Javaの脆弱性を放置すると業務に影響が出るのはもちろん、個人情報が流出するなど重大な事故につながる可能性があります。
セキュリティ事故によって失った企業の信用を取り戻すためには、長い時間を必要とします。Javaの脆弱性を原因とした被害を受けないためにも、自社のWebシステムに脆弱性があるか定期的にチェックすることが大切です。
Javaの脆弱性は多すぎる?
Oracleが実施している定例セキュリティアップデートで発見されたJavaの脆弱性は、以下の通りです。
アップデート実施日 | Oracle Java SE | Oracle製品全体 |
---|---|---|
2022年10月18日 | 9件 | 370件 |
2023年1月17日 | 4件 | 327件 |
Oracleは発見された脆弱性に対応するため、3か月に1度のペースで修正作業を行っています。定期的に修正対応しているものの、毎回数件はJavaの脆弱性が見つかっている状況です。このような結果から、Javaは脆弱性が多すぎると感じる方もいるかもしれません。
実際に起こったOracle Javaのセキュリティ問題
実際に起こったOracle Javaのセキュリティ問題に、「Log4j」の脆弱性があります。Oracle社は脆弱性の発見後すぐに危険性をアナウンスし、修正パッチを早急に適用するよう注意喚起しました。
多くのニュースサイトにも取り上げられ、大きな話題となったLog4j。ここでは、Log4jの脆弱性とは何か、影響範囲はどの程度だったのかについて解説します。
Log4jの脆弱性によってログからあらゆる攻撃が可能に
2021年12月、米Apacheが提供しているJava用のログ出力ライブラリ「Log4j」に脆弱性が発見されました。最初に発見された「Log4Shell」という脆弱性は、ログの一部を変数化する「Lookup」機能を悪用して攻撃を仕掛けるというもの。細工した文字列を送付してLog4jがログとして記録することで、悪意あるコマンドが実行可能になります。
送付する文字列によってデータの消去や情報の盗取など、あらゆる攻撃が可能になってしまう状態でした。Log4Shellは攻撃のしやすさから「共通脆弱性評価システム(CVSS)」のスコアは最高の10.0、深刻度は「緊急」と判断されています。
Log4jによる被害の影響範囲
ログ収集機能を備えたWebシステムは多く、サーバー・ゲーム・組み込みシステムなどあらゆるジャンルのWebシステムにLog4jの影響がありました。多くの企業がLog4jを採用していたのは、Log4jがオープンソースとして公開されているライブラリであったためです。全世界で売上1位を獲得しているゲーム「Minecraft」もLog4jを使用しており、大きな注目を集めました。
Log4jの事例に学ぶ深刻な脆弱性への対応策
過去に起きたLog4jの脆弱性の影響は収束していますが、将来、同様の脆弱性が出ないとも限りません。今後、深刻度が高い脆弱性が発生した場合に想定される被害や、それに対する対処方法を確認しておくことはとても大切です。
Log4jについてわかりやすくまとめている「Log4jの脆弱性|想定される被害とその対策をわかりやすく解説」を参考に、改めて対応策を確認しておきましょう。
Javaの脆弱性を狙った攻撃による影響
インターネットを通じてWebシステム・サービスを提供する限り、攻撃対象として狙われることになります。セキュリティ対策が不十分だと、データの操作・閲覧やシステムを乗っ取られる可能性があり大変危険です。
ここでは、外部からの攻撃によって具体的にどのような影響があるのか解説します。
不正にデータを操作・閲覧される
重要なデータへのアクセス・処理を実行する箇所において、入力された値を検証する仕組みに不備があると、不正なデータ操作が行われる可能性があります。不正なデータ操作は、企業の評判を落とす・マルウェアなどのウイルスに感染させるなどを目的に行われます。Javaのコードが書き換えられたり、重要なファイルが削除されたりすれば、企業を揺るがす問題へと発展するでしょう。
また、データそのものは操作できなくても、外部からのアクセスが未許可の領域に侵入され、不正にデータを読み取られる可能性もあります。企業の機密情報や個人情報が不正に閲覧されれば、外部に情報が流出して大きな損害となります。
システムが乗っ取られる
Javaの脆弱性が突かれてウイルス感染すると、第三者にシステムを乗っ取られることがあります。感染したシステムは遠隔から操作できるようになり、任意のコードを実行するとデータの改ざんや情報漏えいが可能になります。
また、システムが乗っ取られることで、犯罪の踏み台に利用される可能性もあるでしょう。踏み台にされると、攻撃の発信源や不正アクセスの中継地点に利用されるなど、さまざまな犯罪に悪用されるため注意が必要です。
Javaの脆弱性をチェックする2つの方法
Javaの脆弱性をチェックする方法には、「脆弱性情報データベース」と「脆弱性診断」があります。
Javaに脆弱性があってもすぐ気づけないケースが多いため、「脆弱性が発覚してから対応すればよい」という考えは非常に危険です。実際、Log4jの脆弱性問題では、「どの部分でLog4jを使用しているか」「攻撃を受けている場所はどこか」ということを特定するのが困難でした。
企業の機密情報や個人情報を守るためには、まずセキュリティの脆弱性を見つけることが大切です。公式サイトや脆弱性診断を活用し、定期的にJavaの脆弱性をチェックしましょう。
方法1. 脆弱性情報が確認できる公式サイトを確認する
脆弱性情報データベースを利用することで、Javaの脆弱性に関する情報や対策方法を確認できます。日々新しい脆弱性が発見されているため、定期的に最新情報をチェックすることが大切です。
脆弱性情報を確認できる主な脆弱性情報データベースは、以下の4つがあります。
- Oracleのセキュリティアップデート情報
Oracle製品に関するアップデート情報・セキュリティ警告などが確認できる。 - CVE
サイバーセキュリティの脆弱性に固有の名前や番号を付与しており、辞書のように検索できる。 - NVD
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が運営している脆弱性データベースで、脆弱性の詳細を検索できる。 - JNV
日本で利用されているソフトウェアの脆弱性情報を提供しているデータベースで、対策情報を検索できる。
脆弱性情報データベースを活用し、自社のWebシステムに関連する情報を収集するようにしましょう。
方法2. 脆弱性診断を活用する
脆弱性診断は、Webアプリ・OS・ネットワークなどに脆弱性がないかどうか、疑似的な攻撃を行うことで検証するセキュリティ対策方法です。診断対象において脆弱性がないか網羅的にチェックしてくれるため、簡単に問題を検出できます。診断結果レポートを参照して脆弱性の詳細が理解できれば、具体的に実施すべき対策について検討を進めやすくなります。
Javaの脆弱性対策では、Webアプリケーション脆弱性診断の実施がお勧めです。Webアプリケーションの脆弱性診断のやり方には、ツールを使った方法と手動で行う方法があります。それぞれ特徴やメリットが異なり、2つの手法を組み合わせることでセキュリティをより強化できます。診断の目的や予算に合わせて使い分けるとよいでしょう。
自社システムのセキュリティ状況を確認することで、サイバー攻撃によるリスクを未然に防げます。脆弱性診断ツールは、診断員による手動診断よりも安価でスピーディーに問題を検知できるため、費用対効果が高いことがメリットです。
脆弱性診断ツールについては、「脆弱性診断ツール(サービス)|有料・無料の違いと5つの選定ポイント」にて詳細を解説しております。併せてご覧ください。
サイバー攻撃の手法は多様化しており、インターネットに接続している以上いつ被害に遭ってもおかしくありません。セキュリティ対策の第一歩として、脆弱性診断ツールの導入を検討しましょう。
Javaの脆弱性に有効な対策
Javaの脆弱性に有効な対策には、「最新バージョンへのアップデート」と「WAF導入」があります。どちらか一方のみ実施するのではなく、両方取り入れてセキュリティ対策を強固にすることが重要です。
以下で解説するアップデート・WAFの重要性を理解し、実際に対策を実施しましょう。
Javaを最新バージョンにアップデートする
Javaの脆弱性に有効な対策の1つ目は、Javaをアップデートして最新バージョンを使用することです。脆弱性対策で重要なのは外部から内部システムに侵入する隙をなくすことで、隙を作らないための基本的な対策がアップデートになります。
最新バージョンを確認する際は、必ず一次情報を参照しましょう。二次・三次情報だと情報が古かったり、内容に誤りがあったりする可能性があります。
また、最新バージョンのダウンロードは公式サイトから行うことも重要です。公式サイト以外からダウンロードするとウイルス感染するリスクがあるため、必ず公式サイトであることを確認しましょう。
WAFを導入する
Javaの脆弱性に有効な対策の2つ目は、WAFを導入して外部の攻撃を遮断することです。WAFとは、Webシステム・アプリの脆弱性を悪用する攻撃を検知し、自動で防御するセキュリティ対策製品のこと。Log4jのようなJavaの脆弱性が見つかっても、修正バージョンが公開されるまでの間WAFで攻撃を防げます。
WAFと似たセキュリティ対策に「ファイアウォール」がありますが、ファイアウォールとWAFの役割は異なります。ファイアウォールは通信を制御して不正アクセスなどを防ぐのが役割で、通信の中身までは確認しません。一方で、WAFは通信の中身までチェックし、他のセキュリティ対策で防げなかった攻撃を検知して被害の拡大を防ぎます。
WAFを導入すれば、SQLインジェクション・クロスサイトスクリプティングなどの攻撃を防ぐことも可能です。データの改ざんや情報漏えいのリスクを減らすために、WAFを検討するとよいでしょう。
まとめ|Javaに脆弱性がないか診断ツールでチェックしよう
Javaに脆弱性があると、Webアプリが強制終了したり、データが改ざんされたりするリスクがあります。Javaは過去にLog4jなどさまざまな脆弱性が発見されているため、強固なセキュリティ対策の実施が必要です。
セキュリティ対策を実施するために、まず自社のWebシステムに脆弱性がないかどうかチェックしましょう。Javaの脆弱性を簡単に見つけるには、脆弱性診断ツールを導入するのがおすすめです。問題を自動で検出してくれるため、リスクを未然に防げます。
外部からの攻撃による被害を受けないためにも、セキュリティ対策を万全に行いましょう。